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デジタルしかできない人たちをマーケッターといえるのか

カテゴリー:ウェブマーケティングブログ
17.06.16

日経ITProactive(2017/6/14)に、「デジタルしかできないマーケッターたちの弊害」とのキャッチコピーが飛び込んできました。
このことは、特に説明することもなく明らかなことなのです。
そもそもデジタルマーケッターは、日本ではWeb解析をする人達が、いつの間にかWebマーケッターと名乗るようになった経緯があります。


彼らの出自(しゅつじ)は、分析、解析畑が多いのです。
ログを解析し、仮説を立てて、「売り上げが伸びない課題は、CV率が1%と低いことと、LPのバナーが小さく目立たないことにあります。そこでPV数が2倍になればだとしても、量的には2倍になるわけです。それとバナーの色を目立つ色にして面積を拡大すればCV率も増える確率が高くなります。リスティング広告を増やし、LPのバナーデザインを変えましょう」などと言っていたわけです。

私は以前、Webマーケッターという若者と話をしたことがあります。彼は得意げにデジタルマーケティングを旗印にして、べらべらと英語用語を並べています。
そこで私は、あなたの言うことは、検索エンジンの中で目立つようにしよう。もっと看板を増やしましょう。看板の色を目立つようにしましょうということでしょう。
それがWebマーケティングだとおっしゃっているのですか?と訊ねました。

彼は私の意味が全く分かりませんでした。なぜなら、彼は、そのように教わり、同じ考えを持っている仲間に取り囲まれているからです。

 

私は彼にこういいます。

「結果論って知っていますね。結果が出てしまったことをあれこれ議論しても結果は覆りませんよということです。
その結果論をあたかも確率論のように使って、しかも因果論のように説明をしているに過ぎない。
しかしそれは確率論でも因果論でもありません。似て非なるものです。
しかし解析結果という数字を持っているから妙に説得力があるように聞こえるんですね。
それをマーケティングと呼ぶにふさわしい進化の系譜に沿ったものでしょうかね」。

彼はこう返事をします。

「進化の系譜って何ですか」。
私はこう答えます。

「例えばコトラーやドラッカーなどがマーケティングを進化させてきましたが1%でも引き継いでいるものはあるのでしょうか」?

彼はこう返事をします。

「デジタルはまったく新しい概念ですから。コトラーやドラッカーって何ですか」?

私はこう切り返します。

「新しい概念ではありません。結果論を因果論のように使って確率論のように説明し、数値でいかにも真説であるかのように説得させる思考方法は日本では、戦前からある課題多き、古式な思考方法なのです」。

彼は最後にこう切り返します。

「同じ考えの人大勢いますよ」。

私も切り返します。

「大勢いらっしゃることが企業にとっての弊害でありマーケティング界においての問題なのです」。

デジタルだけしか知らない人たちが、企業のマーケティング部門を握ると、正統なマーケティングは理解せず、過去のデータを解析して結果から未来を改善しようとするあり得ない理屈に終始します。

英語用語を使って話をするために企業の幹部はよくわからないわけです。

もしも、TV広告を年間100本出して今の売り上げですから、TV広告を200本に増やせば売り上げは2倍になりますと稟議が上がってきたら経営者から、バカ者と一蹴されます。ところがWebマーケティングでもそれと同じことを言っているわけです。

「CV数(ここでは購入率)を2倍にするにはPV数を2倍にすればよい。そのためにはリスティング広告を2倍にすれば解決する」。

こんなことを今でも本気になって言い続けやり続けているのです。

いうまでもなく過去データ解析結果の結果をベースにして因果論もどきでまぶしているだけですからどのような立派な計画を立てようと未来の売り上げ数値を伸ばす具体的な手法などあるわけがありません。

ですからマーケティング計画書はスローガンだけになっていきます。

例えばこんな感じです。
来年度マーケティング部 計画書
■本年度の反省と課題

■次年度の事業計画
□テーマ  常識を超えた拡大
□2大目標

リスティング広告を2倍に増やしPV数を2倍に増やす(ことを目指す)。

PV数を2倍にすることで最終CV数を2倍に増やす(ことを目指す)。

□マーケティング部門の組織体制と役割

(以下略)

多くの事業計画書を見ましたが、昨年度の反省と課題に99%が使われ、残り1%に本年度の計画が上記のように書かれてあるのが実情です。

2大目標のスローガンは、言い換えればこうなります。

広告宣伝費を2倍に増やし来店客数を2倍に増やします。
来店客数を2倍に増やすことで購入客数を2倍に増やします。

スローガンは、理念や目標等を短い言葉でまとめた標語、キャッチコピーに過ぎません。

事業計画をよく知っている上司からは、「こんなのは標語に過ぎない。事業計画書にはならない」とクレームを付けられるでしょう。、
しかしマーケティン部門はこう説明をします。

「現状の購入率はビジター数の1%に過ぎません。確率的に考えてビジター数を2倍に増やせば購入客数も2倍になるということになりますね。だからそれをやろうということです。デジタルは手段が大切であって絵に描いた餅のような計画書はつくる必要はないのです。Webマーケティングは事業計画を超え手段書になるのです」。

説明内容の正体は、解析した結果数値を因果論もどきで語るだけで、論理性はどこにもありません。リスティングを倍に増やしたら、ビジター数が2倍に増えるのか、ビジター数が2倍に増えれば自動的に購入数も2倍に増える保証はどこにもない論です。

ところが、Webマーケティング界は、こうした考えで蔓延しているわけです。顧客は数量の一単位であると思っている人たち、つまり解析を業務としている人たちに企業が、課題が分かれば解決方法もわかるはずと要望し、解析結果を以って未来の売り上げ数値を改善しようと試み、いつの間にかマーケッターというようになり、その人たちがマーケティング部門を占めるとしたら日本の企業は決して良い方法には進みません。
日経BP社が「デジタルしかできないマーケッターたちの弊害」をアップするのは、世の中がこの件に気付いてきたことによるものと、共感者が生まれてきた証拠ともいえるのです。

しかし、ではどうすればよいかという具体的な議論は生まれません。
本ブログでは、どうすればよいかを明確に示していきます。

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