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超論理思考のWebマーケティングで勝ち抜くことができるのか

カテゴリー:ウェブマーケティングブログ
17.04.21

1955年から77年、高度経済成長時代に、企業は訪問セールスマンに「1カ月延べ100軒回ると5件の受注が取れることが確率的にわかるようになった。したがって一カ月100軒回って5件の受注をすることを行動目標とする」と申し伝えました。

高度成長時代が終わると、「成長率が下がり今までの月間100軒訪問では5件の受注が取れなくなった。よって、確率的に120件回って5件の注文を取るようにルールを変える」となりました。

3件しか受注がないセールスマンには、「君たちが5件の注文を取るには確率的に言って200軒の訪問をしなければいけない。よって、月に延べ200軒を回るように」となりました。

それ以前を振り返ると、新人教育方法では、戸別訪問し寝具を2セット売れるまで帰ってくるなという実例があります。夜中まで訪問させてとにかく2セット売って来いと放り投げた教育方法です。根性論、精神論を伸ばす教育でした。
根性論は軍隊での教育にまで遡ります。さらに軍隊の根性論は武士道にまで遡ります。武士道が鎌倉時代に生まれたものであるなら、体育会系営業活動によくみられる根性輪、精神論は鎌倉時代まで遡るわけで実に根深い問題です。

話は冒頭に戻ります。


数字が、根性論、精神論に加わることで根性論、精神論だけのものに具体的な説得力が生まれました。
「お前は先月成績が悪かったから今月は倍働け」というより、100軒回って5件注文がとれているのがうちの標準的な数値だ。君は3件下注文がとれなかったから200軒回ってさいて最低でも5件を注文を獲るようにと言った方が説得力が増します。
とはいえ、数字が加わったとしても、100軒訪問し5件の受注というのは、100軒訪問して95軒を切り捨て、5件の受注にたどり着く短期目線で刈り取り中心の営業活動ですから、顧客無視、売り上げの伸び悩みはすぐに到来し、次の打ち手はないことになります。昔の訪問営業は、ドアノックしてドアが開いたらすぐに片足を突っ込めという教育をしていました。
実態はそうであっても、形式的には、単なる根性論、精神論に数字が加わったことで奇妙な説得力が付加されたのです。

さて、Webマーケティングブログなのにいったい何の話だと思う方もいるでしょう。大事な話です。
日本の営業活動は、根性論と精神論がベースにあって、そこに確率論と名付けている数字を載せることで説得性を持って語られるようになりました。
ですが、100軒訪問すれば5件の受注が得られる根拠となる学問は確率論ではなく、単なる結果を算数で算出した数値に過ぎません。結果論とは結果が出たことについてあれこれと論じることという意味です。結果が出ていることにあれこれ論じても結果が覆ることはないのですから無駄な論議という意味で使われる用語です。
日本人は、結果論に因果論を加えたのです。

因果論とは原因があるから結果があると考える仏教用語です。
日本の営業では、君の目標は120軒訪問して月5台販売だが3台しか売れていないね。5台を売るためには確率的に考えて月200軒回ればできることになると普通に言いますが、これは結果要因を解明できれば原因数値を改善できるとする論で因果論とは異なる、超論理的な論です。超論理とはスーパー論理ではなく、「論理を超えた非論理」の意味です。

120軒回っていたセールスに、200軒回れというのは根性論、精神論でしかありません。軍隊で、制限時間に間に合わなかった兵士にはグランド20周回れとの罰ゲームと同じです。確率論の応用であるはずがありません。
そうなのです。日本の営業は超論理的発想で固められています。

信じられないでしょうがWebマーケティングも全く同じ超論理的思考で組み立てられているのです。

まず、一定期間のログデータを過去形にしてKPI値を与えて並べますね。ここで確率論的に語ります。〇〇のCVが何%で、他と比べて落ちる率が異常に高い。ここを上昇させるには、PV数を〇〇%アップさせよう。となります。
つまり因果論は原因があるから結果がある。未来の結果(CV)を変えるにはいまの原因(PV)を変えればよいと変化していきます。

注目すべきことは数字です。
結果論に解析結果の数字が結びつき、因果論に似た発想で語られるとどのような説明になろうが反論がむずかしいのです。
このPV値を15%アップする。根拠はありません。結果論で未来の結果を変えることは困難です。120軒訪問して3件しか受注できなかったから、200軒回れと同じ理屈です。Webマーケティングはログデータを入手しながら昭和の営業活動の中心にあった根性論、精神論と何一つ変わりません。
こうした考え方を社会科学者の小室直樹氏は、日本教と命名しています。日本はすべてを自分たちの都合が良いように変えていってしまう。それを日本教と名付けたのです。
整理しましょう。
Webマーケティングは日本的な超論理的(非論理的)思考で固められています。ログを過去データにしてから分析解析するので結果論でしか語れません。
結果論にログ解析数値を添えます。さらに、未来の結果を変えるために今の結果数値を未来に向けて修正しようとします。しかし根拠も具体的な手法もありません。

そのうえWebマーケティングは、不特定多数を対象にしたマスマーケティング手法です。次の一手は顧客に対する打ち手以外にあり得ませんが顧客を対象としていないから顧客にアプローチをする術を知りません。
それに最も重要な一つであるログデータを使っているけれど活用していません。マスマーケティングだからです。

なぜこうなったのでしょう。


Webマーケティングは本来が看板文化のマスマーケティングを展開しているアメリカで生まれた手法です。
日本でWebマーケティングを採り入れたはじめのころは、解析が中心でした。ところが、日本の企業は解析した結果を以て、売上げアップを期待しました。解析して原因が分かったのだから売上げを伸ばす手法もあるのだろうと考えたのが企業です。
それに応えるために解析者は相当に苦慮したと思います。
しかし、今の結果を論じて未来の結果を変えることは困難なことです。未来の結果をつくった原因と、今の結果をつくった原因とでは、原因の構成条件が異なるからです。
売り上げを伸ばす観点では、別な手法を見つけなければいけないと確信します。
現状のWebマーケティングには、リスティング広告などの検索エンジンをベースにした広告表示技術と、超論理的思考の販売技術の2つを戦略テクニックとしています。他に戦略は見当たりません。
無戦略状態と、2つのECテクニックだけで、ECビジネスは勝てるのでしょうか。
移り気な生活者の心をつなぎとめることができるのでしょうか。
ログデータを駆使して最強のOne to One マーケティングを戦略設計できるのに、広告中心のマスマーケティングだけでいいのでしょうか。
超論理的思考を否定するところにWebマーケティングがこれから伸びていく成長のタネが潜んでいるのですが、現状の否定をできない人にはわからないことでしょうね。超論理的思考は日本人のDNAに加わってしまっていますからね。

(本文2917字 次号へ続く)
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