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PINOSOLAマガジン第一章 旅立つ前に立ち寄る世界  1.統合の意味

カテゴリー:服部隆幸のPINOSOLAブログ
17.04.21

旅立つ前に立ち寄る世界

この場所は、ドラクエ的に語ればこれから魔王を倒し世界平和を実現する旅にでる主人公が、出発前に立ち寄らなければならない目的実現に向けて知恵を授かる教会のような所です。
システム業界、マーケティング業界のだれもが見過ごしていた世界。この世界は、多くの決め事をして、旅の途中で忠実に約束を果たしていく誓いの場所であるのです。

D営業改革(デジタル技術を使って営業改革、デジタル営業化を図ることの通称)や、将来にAIシステムとの統合を始めるうえでも同じことが言えます。導入業務に手を付ける前には「相反するモノの統合作業」が必要になります。
しかし、いきなり統合とは、どういう意味があるのでしょうか。何のためにするのでしょうか。なぜ統合作業が必要なのでしょうか。

それは、業務導入進行中に発生する課題、システムが完成してから発生する課題を最小限度にとどめ、できることなら何らトラブルを起こさずスムーズに移行に成功させるために必要なのです。
大きな投資を無駄に終わらせないために、後悔をしないために必要なのです。D営業革命を成功させるために必要なのです。初回の投資でAI化にまでつなげていくために必要だから行うのです。

わかりやすい話をいたしましょう。
ICTに、簿記システムを組み込んだ会計ソフトは、多数の企業が使っております。問題は何一つ発生していません。税率が変わろうと実にスムーズに使われて最大の効率と精確さを発揮しております。
それは組み込みと同時に完璧に「人間」と「ICT」と「税務会計」との「統合作業」が終了しているからです。

ところが、営業活動をICTに組み込んだシステムはそうはいきません。営業活動システムは、導入以前の企画段階で統合すべき個所を統合できていないと使えません。使っても使いこなすことができません。人格的統合もなされません。なぜなら統合作業がなされていないから必ず分裂が発生します。発生した分裂を処置できないことでやがては人格的分裂が起こりシステムは使えない、使わないモノに変化してしまいます。
話がむずかしくなりました。SFAの例でわかりやすく語りましょう。

SFAがアメリカから輸入された当時、特に製造メーカー「経営者」の期待は実に大きかったです。営業活動はブラックボックスに入っていると思っていましたから。SFAを導入すれば営業活動は、可視化できるとすぐに思ったわけです。
多くの企業が導入を検討し始めました。営業部門は反対している企業が多かったのです。ここで統合作業をやることが本来でしたが、多くの場合、社長の意志によって進められていたのではないかと思います。
ところが、実際に導入すると営業パーソンは、本日の業務報告を、毎日毎日細かく記載しなければならず、記載した内容はだれが読むわけでもなく、やって意味を感じないモノとなりました。案件の進捗報告は強制記入でしたので、本人さえ分からないことを強制的に記入することはウソを書くしか方法はありませんでした。また競合がある場合には、最後の最後まで受注先が決まらず、案件進捗が進んでいるにも関わらず、最後で案件から姿を消すことも頻繁にありました。経営者は営業部門がSFAを導入しても何ら変わらないと怒り、営業部門は、社長は営業をわかっていないと反発しました。

ここで経営者の「SFA導入後の期待」と、「営業部門の期待に応える行動」は統合できず、「分裂」が生じたわけです。人格的統合とは、本章では当事者が自然に使って何ら問題が起きない状態のことを指します。例えるなら会計ソフトを使っている経理担当が、自然に使って何ら問題が起きない状態を指しています。
一方、SFAを使っている営業部門は業務日報を毎日記入しても誰も読まず、記入できない内容を記入しなければシステムを閉められず、時にウソを記入して閉めることを余儀なくされています。例えば外車のデーラーでは新車を販売した折につくる顧客プロフイール欄に次回購入年月日を記入しなければシステムを閉めることができない。そこでウソを記入している。やがて5年くらいたつと、向こう三カ月購入予定リストにここで記載したウソデータが出てきて店長から早くアプローチをするように求められる。このような状態を人格的分裂と言います。

ですから、営業活動系システムが不評で使われない、あるいは使用中止が生じたらそれは統合作業をしていなかったからと考えて間違いではないのです。そして営業の最適化を目指す企業が最初にやらなければならないことは統合作業です。
いままでは、統合作業なんて考えた人はあまりいなかったでしょう。私もPINOSOLAを考える前には、気が付かなかったですね。それが自分の思考経路をたどると統合作業をやって分裂したモノ、統合したモノを区分けして考えることで解決できると考え出したのです。

ゲームデザインから引用して「旅立つ前に立ち寄る世界」と名付けた第一章では、デジタル技術を添えたD営業活動の目的を達成するために、システム導入作業に入る前に何をしなければならないかを読者の皆様にお知らせするところにあります。

統合の意味

統合とは「複数の諸要素が相互に結合し,単一の全体性を獲得する過程で、分裂に対する概念」のことです。出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

統合にはいろいろなタイプ・形態・種類があります。社会的統合、文化的統合、人格的統合、垂直統合、水平統合など、ふと思い出しただけでいくつもの統合を上げることができます。また、社会科学での統合、心理学での統合と学問別に異なる意味が生まれます。さらにSI(システム統合)も統合の一ジャンルです。
いろいろな統合の様式がありますが、本章では「相反する要素統合」(Element Integration)を取り上げます。

2年ほど前から、デジタルマーケティングに携わっている方々は、相反するモノの融合が必要だ。例えばコンピュータとコミュニケーションの融合が必要だと言い続けています。いいところまでたどり着いていますが融合と言ってしまったがためにメソッドをひらめくまでには至らなかったと言えるかもしれません。
融合は、間違った用語の使い方です。融合とは、二つ以上のモノが溶け合って一つになることです。コンピュータとコミュニケーションが溶け合って一つにはなりません。融合ではなく、統合が正しい使い方です。

赤色の絵具と、白色の絵具を融合するとピンク色一色になります。ここには赤色も白色も残ってはいません。
赤色と、白色を統合すると、統合色としてピンク色が生まれますが、赤色も白色も、モザイクのように残っています。
統合作業とは、赤色1と白色1からピンク色1を見つける作業です。ピンク色1(統合色1)を見つけたら、ピンク色に化してしまった残り赤色2と白色2は分裂色になります。
そこで残った赤色2と白色を統合2し、ピンク色2をつくります。
次にピンク色1とピンク色2を統合してピンク色3をつくります。
ピンク色は単一の全体性を意味します。赤色は、例によれば経営者の期待を意味します。白色は営業部門の期待に応える行動を意味します。
この繰り返しで、単一の全体性を実現する大部分(統合ピンク色)と、単一性の全体性に含まれなかった経営者の期待(分裂赤色)と営業部門の期待に応える行動(分裂白色)とが残ります。
ピンク色の部分は統合が終わっていますから経営者も営業部門も人格的統合ができています。しかし分裂したまま残っている「経営者の期待」と営業部門の「期待に応える行動」が、どちらも決して譲れないというなら、このシステムは、形を変えなければなりません。
出来上がっても経営者の期待に応えられない個所が残り、営業部門の期待に応える行動ができない個所を残すからです。
分裂赤色と分裂白色を残さないように、できる限り統合しきることです。残りがあればそこが火種になるからです。

いえ、それだけではありません。統合作業はD営業改革の起点になります。統合作業をしながら創案した戦略設計のレベルがD営業改革の品質レベルを決めてしまうのです。
統合作業をするには、沢山の引き出しに詰まった沢山の知恵が必要です。知識だけでは統合作業はむずかしいでしょう。論理だけでも統合作業はむずかしいでしょう。知恵とは知識+経験+ノウハウとここでは考えます。2年ほど前からデジタルマーケッターが右脳と左脳の融合が必要だと言っていますが、統合作業には右脳と左脳の統合が必要だと考えるのがベストではないかと思っています。

次号では、「統合の最上位にあるもの」について説明をいたします。
(本文3367字 次号へ続く)


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