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いつまで仮説検証で次の一手を見つけようとしているのでしょうか

カテゴリー:お知らせ
17.05.19

 

仮説を立てるのは多くは解析者です。解析者は、課題の発見から始まり、状況分析や、その背景や、論理的思考や、解析の体系だった学習や、数多くの経験を通して、仮説を立てています。(いるはずです。)

しかし、仮説を何回検証しても答えは仮説に基づいて解析した結果ですから検証結果も仮説に過ぎません。仮説は事実情報に基づいて実証できて初めて真説になります。

物理学者が研究の結果まだ発見されていないABC粒子があると発表しても、それは仮説に過ぎません。実験装置をつくって事実情報に基づいた実験の結果、ABC粒子の存在が実証されたことによってのみ仮説は真説に変わるわけです。

そのため仮説設定の優劣が結果を左右するということで、仮説を設定する能力や仮説を見つけ出し、探し出す分析方法を養うことが大事だと言われています。

ここに仮説検証の属人的な偏りが生じると思います。人間が行う以上偏りが生じるのは仕方がないことでしょうが、仮説に対して解析をするためにはデータが必要です。未来のデータは何処にも存在しません。現在のデータはたった今の一データに過ぎませんから解析のしようがありません。そこで一定期間の過去データを使って解析し、仮説が正しいかどうかを検証することになります。

Webマーケティングは解析による仮説検証をベースにした手法を採っています。
ビジター数が次ページに進む率は20%、購入率は1%と解析結果が出た。上司からは購入率を2%にするようにと指示が出ている。
そこで担当者は一般的には、サイト改善及び販促計画を立てるわけです。

〇サイトの目的は何か

□商品販売

〇課題は何か、

□PV数が少ない

□直帰率が80%と高い

□購入CV数・率が少ない

〇課題の整理とKPI設定

□次ページに進む率を40%にする

□ビジター数を2倍にする。

〇計画

□LP下段バナー面積を大きくし目立つ色に変える

□リスティング広告の出稿量を増やす。

□コンテンツを変える

□ABテストをやる

□費用算出

〇実行

〇検証

□解析

〇再検証

大雑把に書きますと以上のようなスケジュールが組まれるのではないかと思います。どちらの企業も同じことを繰り返しているのではないかと思います。

ここから問題提起になります。

1.なぜ過去データの結果数値を未来の数値を変えることに使用できるのでしょうか。

この件については先回のブログ読者からこんな質問がありました。過去の数値で未来を変えようとすることは普通にあることではないかと疑問を投げかけ事例として学校教育やスポーツの事例を挙げておられました。

そこでこの質問に答えながら問題提起について理解を深めていただきたいと思います。

例えば、算数のテストが30点しかとれず、先生に叱咤激励された子供が奮起して予習復習を正しく行い次回のテストでは100点を取ったとします。これが過去の数値で未来を変えたとの主張でした。

このケースでは子供が努力して算数の実力をつけたということです。

一方、売上げ要因分析を参考にすると、売り上げを伸ばす一つの手法が分かります。

売上高=購入顧客数×購入頻度(平均)×一客購入点数(平均)×一点単価(平均)

この式から売上高は、4つの売上げ要因素数を乗じたものであることがわかります。

過去一定期間に溜まった売り上げ要因データと、未来の売り上げ要因データとでは、売り上げ構成要素が異なることに注目しなければいけません。

しかも学校教育は子供本人が自己管理をすることで努力が積み重なることによって実力がついていくものです。管理可能なのです。

一方、売上高は、企業が管理不能な存在である「お客様の行動」によってつくられていくものです。

以上の説明だけで、過去データを解析して、解析結果から仮説を探索しようと立てようと未来の売り上げをつくる直接の要因にはならないことがお分かりと思います。

2.マスマーケティングの限界がすぐに表面化してきます。

Webマーケティングでは、どれほど見事な解析結果を出しても、打ち手は選択できるほど揃っていません。

「LPのバナーを目立つように変える」。

これは店舗でいうと動線管理を再検討しPOP広告を目立つように配置する類のものです。

「リスティング広告を増やす」。

これは、チラシの回数を増やす。クーポンを増やす。捨て看板を増やす。看板を大きくするという類のものです。

「SEOを見直す」

検索エンジン上で自社を目立つようにするということです。

「コンテンツを変える」

「ABテスト」をやって立証する。

こんな程度です。

次はどうなるでしょうか。

「エブリデイ ロープライスに走る」。

「ポイント倍率競争に走る」

「値引き競争に走る」。

いずれも価格競争に走るということです。

これがマスマーケティングの行きつくところです。

日本でも過去に同じことを繰り返しています。

高度成長時代には、洗濯機、テレビ、冷蔵庫が登場しました。この時代にはマス広告だけで顧客は行列を作りました。

しかし、成長が峠を越え、成熟期に入るとマス広告は効果が薄くなりました。

さらに、マス広告を打っても受注にはつながらない時代になりました。

やがてチラシにはクーポン券がびっしり貼られ、どこよりも良い品が、何処よりも安く、どこよりも早くお届けしますとキャッチコピーが踊りました。

しかし、価格で獲った顧客は、価格で獲られます。逃げた顧客を奪い返すのは、さらに安い価格しかありません。

3.ABテストも同じことです。

ABテストもテスト対象の時期だけの結果です。

ABテストの結果も、構成要因は顧客の行動反応の結果です。

ABテストを行うたびに構成要因である顧客の行動反応は変わるわけですから。

言い換えれば、ABテストでBになろうと最終結果はBの方が購入率は高いということも起こり得るということです。

結局、たどり着くところは過去データをどのように解析したところで、結果を以て未来を変えることはできないことと、マスマーケティングは商品と人間の成熟市場ではすぐに限界に達するこの二点です。

Webマーケティングは、活き活きとしているログデータを、わざわざ過去データに置き換えて解析し、過去データの解析結果から未来の売り上げを変えようとしています。しかし手法は限られていてリアルショップでいう動線管理による配置換えとリスティング広告量を増やすしか手立てがないことは、おかしいのではないかと疑わなければいけないと思います。

突き詰めていくと、これらは売り上げを伸ばす方法ではなく過去データを使って検証する解析検証の手法であることがわかります。不要ではありません。存在までを否定はしていません。売り上げを伸ばす手法は別にあるということをお伝えしたかっただけです。

(文字数 2716字)

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